旭化成ホームズ(ヘーベルハウス)設計本部 営業設計部 課長の小野一枝さん。同社で長年、インテリアコーディネーターとして活躍しています。「父が建築関係の仕事をしていたため、子どもの頃から家に興味があり、学生時代は住居学を学ぶため生活造形学を専攻しました。店舗デザインにも関心がありましたが、お店は時代の流れで早ければ数年で入れ替わってしまうもの。長く存在しつづける、住宅のインテリアがつくりたいと考えました」。
元々はフリーランス志向だったという小野さん。会社でキャリアを積み、独立できるだけの力をつけようという心づもりはあったものの「会社という器があるからこそできることが多いと感じています。いい家をつくるというゴールに向かって、さまざまな職種のメンバーが集まり切磋琢磨できる恵まれた環境だと思います」。
そんな小野さんは、今までに実邸のインテリアコーディネートを400棟以上手がけてきました。最新のトレンドには常にアンテナを張り巡らせ、情報収集は欠かさないといいます。「この仕事は、引き出しをたくさん持っているかどうかが勝負。話題のお店やホテルへは実際に出向き、勉強のために自腹で宿泊することもあります。一方で、長く愛されているスタンダードなものの良さを知ることも大切。ここ3年は、北欧のミッドセンチュリーの住宅を訪ねる旅をしています」。どこへ出かけても、床や壁はどのような仕上げ材を使っているか、照明は、家具は、とチェックを怠らないとか。「つい目を光らせてしまう。職業病ですよね(笑)」。
「最近はインテリアにこだわりの強い層が増えて、施主自らインターネットで検索して新居に採用したいものを指名買いすることも珍しくありません。でも時にそれが、コーディネートとして色やサイズのバランスが悪かったり、耐久性やメンテナンスの面で問題ありの場合も。そこをプロの視点でアドバイスし、まとめ上げていくのも私たちの大切な役割です」。
小野さんが実邸のコーディネートをする際には、空間の中でインテリアが目立ち過ぎないようにと配慮しているとか。「建物に寄り添うインテリア、とでもいうのでしょうか。まずは設計のコンセプトを咀嚼し、どのような意図でこのプランをつくったのかを把握します。たとえば、壁に窓からの光を反射させて室内を明るくするはずのところを、見た目のインパクト優先で濃い色の壁にしてしまったら、当初の狙いが台無しになります。ですから、設計者とのコミュニケーションがとても大事なんです」。
一方で、モデルハウスのコーディネートも数多く手がけている小野さん。「モデルハウスだからできる、実験的で大胆な提案にチャレンジするのも楽しいですね。東京・金町のモデルハウスでは、溶岩を切り出したタイルを壁に貼り、来場されたお客様がハッとするようなインパクトのある空間をつくりました」。新しいトレンドや強く印象に残る素材をあえて盛り込み、そこから実際の家づくりのヒントを得てほしいと考えているそうです。
モデルハウスのコーディネートでは、どんな家族が、どんな一日をそこで過ごすのか、詳細な設定を決めてイメージをつくり上げていきます。そこがあいまいだと、着地点もぼやけてしまうとか。それは、実邸のコーディネートにも言えることだそう。「これから家を建てる方には、新しい家でどんな暮らしをしたいのか、できるだけ具体的なイメージをもっていただきたいですね。私たちがモデルハウスのコーディネートをするときも、家族のキャラクターや日常生活、趣味など、かなり細かいイメージをつくり込んでいくんですよ」。
インテリアコーディネーターの立場で、これから家を建てる人に向けてのアドバイスは?「当社の『ロングライフデザイン』という理念にも通じますが、インテリアも長く愛着を持てることが大事です。飽きのこない空間づくりのために、時を経るごとに味わいの出る自然素材を採り入れることをおすすめします。多少の傷や経年変化も、家族の思い出の一つ。愛着をもってお手入れをしながら、大切に育てていくような気持ちで、わが家とおつき合いしていただきたいですね」。
(文責:イエノミカタ編集部)
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