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“気持ちのいい空間”を極める

家づくりのプロフェッショナル~『設計職』

父が描くパースに魅せられた少年時代

ヘーベルハウスでお馴染みの旭化成ホームズ、東京デザインオフィスでデザイナーを務める荒川圭史さん。入社以来、職種はずっと設計担当で、今まで手がけた住宅は500棟以上にのぼるそうです。

「子どもの頃、設計士の父が描いた精巧なパースを見て“すごいな”と感嘆したことを覚えています。水彩画でしたが、まるで本物のように見えましたから。私も父のDNAを受け継いだのか、工作や絵を描くことが好きで。気づいたら自然にこの道に入っていた感じですね」。大学、大学院と建築学を学び、ハウスメーカーに就職して、住宅の設計に長年従事。休日に時間ができると、気になる建物を見に行く日々。「仕事と趣味の境目なし(笑)。結局、建物が好きなんですね」。

旭化成ホームズ 東京デザインオフィス デザイナー 荒川圭史さん
1987年入社以来、設計一筋。インハウスデザイナー集団である東京デザインオフィスに所属

日々の仕事の必須アイテムは、marumanのクロッキー帳。自身が手がける住宅一棟につき、必ず一冊を新調するそうです。「自分のデスクでアイデアを練ったり、お客様との打ち合わせ時にその場でスケッチしたり。何冊にも及ぶことも珍しくありませんね」。目の前でサラサラと描き出される、わが家の青写真。まさにライブ感覚のプレゼンテーションに、お客様の目は釘付けに。「模型や3Dソフトも使いますが、お客様との会話の中で生まれるアイデアや提案は、こうして形にするのが一番」と、愛用の鉛筆で巧みなスケッチを繰り出します。


スケッチ時に使うのは3Bの鉛筆。硬すぎず柔らかすぎず、ちょうどいい描き味だそう。
アイデアの詰まったクロッキー帳は、お客様から竣工時に「記念に欲しい」と言われることもあるとか

“守り”に入らず“攻め”の設計をし続けたい、という想い

長年、家づくりに関わる中で感じるのは、住宅設計は商業建築と違って守りに入りやすいということ。「それではつまらない。攻めの姿勢でいたいと思うんです」。

荒川さんが以前、設計した東京・瀬田のモデルハウスは、2階を間仕切りなしの大空間に。家具を可動式にして、住み手が自由にレイアウトを変えるという大胆な提案をしたそうです。「人は気持ちいいところに動くもの。季節や気分に合わせて、心地よい場所をつくれるようにしました」。新宿のモデルハウスでは、中庭にガラスタイル張りの水盤を配するというチャレンジを。「レフ板効果で、ゆらゆらとした反射光が室内に満ちる、居心地のいい空間になりました」。

もちろん、そのチャレンジ精神は実邸の設計にも生かされています。2012年度のグッドデザイン賞を受賞した『東京一軒家』では、都心のビルの谷間にある狭小敷地に建つ家の中に、いかに心地よい空間をつくり出すかがテーマでした。周辺を高層ビルに囲まれ、直射光が入るのは一日のうちほんの1、2時間という厳しい条件。家を建てる誰もが望む“光がたっぷり入る明るくて気持ちいい家”を実現するのは難しいように思われました。

そこで、荒川さんは“直接光が入らなくても気持ちいい家”をつくることを考えました。屋根にスカイライト(天窓)を設けて天空光を取り入れ、北側の窓からは隣接するマンションの外壁の反射光を取り込み、室内に柔らかい光がまわるようにしたのです。天空光は季節や時間帯による変化が少ないのがメリット。やさしく心地よい光は漆喰の壁に反射して、室内はしっとりと落ち着いた雰囲気に。居心地のいい巣の中にこもるような、気持ちいい空間ができあがりました。



写真3点共『東京一軒家』。拡散する光が、ほんのりとした明るさと暗さを生み出します

「『東京一軒家』では、心地よさの概念を変えられたと思っています。太陽がさんさんと降り注ぐだけが気持ちよさではない、と。一方、東京デザインオフィスのフラッグシップモデルである成城モデルハウスは好対照で、広い、大きい、明るいという空間づくり。どちらにも、それぞれの魅力や良さがあります」。


これからも“気持ちのいい空間”を追求していきたいという荒川さん。その理想を具現化した実邸をもっとつくっていきたいと語ります。チャレンジは、まだまだ続きそうです。

(文責:イエノミカタ編集部)

参考サイト

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