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暮らしに無理なく馴染む技術のあり方を探る

家づくりのプロフェッショナル~『研究開発職』

創意工夫でモノづくりに熱中した少年時代を経て、家づくりの仕事へ

大和ハウス工業 総合技術研究所 フロンティア技術研究室の吉田博之さん。まだ、スマートハウスという概念が一般的ではなかった約20年前から、その分野の先駆けとして研究開発に取り組んできました。

大和ハウス工業 総合技術研究所 研究員 吉田博之さん
子どもの頃からモノづくりが好きで、家やインテリアへの興味からハウスメーカーへの就職を決めたそうです。
スマートハウスのモデル棟の家具を設計・制作したことも

大学で機械・制御工学を学び、就職を考える際に希望したのは、プログラミングよりモノづくりに直接関われる仕事だったそうです。「祖父は左官職人、父は手先が器用で日曜大工が得意、絵の描き方を教えてくれたことも。そのDNAを受け継いだのか、子どもの頃はプラモデルやジオラマづくりに熱中。恐竜の模型を自作した時は、モーターを取り付けて歩けるようにし目を光らせてみるなど、創意工夫が楽しかったですね。大学時代は、収納棚を自作し畳にフローリングを敷いたりと、部屋の模様替えをひんぱんにやっていました(笑)」。

家やインテリアへの興味から、住まいづくりに関わる仕事がしたいと考え、大和ハウス工業に入社。「機械・制御工学専攻ですから、最初は工場配属でした」。その後、デザイン室で商品企画に携わり、1994年の研究所設立と同時に異動。スマートハウスの研究開発の中心メンバーとして活躍することになります。


スマートハウスはスマートフォンと同じ可能性をもっている

『スマートハウス』、そのルーツは1990年までさかのぼります。最初のスマートハウスは、電話回線を使って外出先から設備機器をコントロールする、ホームオートメーションを搭載した家でした。その後、1995年にインターネット元年を迎え、今度はネット回線を使って情報家電を操作する家が話題に。しかし、システムが高価だったこともあり、普及までには至りませんでした。そして、2010年頃に3度目の波がやって来ます。政府がスマートハウス普及の積極的なテコ入れを始めた矢先、東日本大震災が起こり、国内では電力供給への不安や節電への意識が高まりました。そこで、節電・発電・蓄電ができるスマートハウスに注目が集まり、一気に普及し始めることになったのです。

「総合技術研究所設立の1994年は、インターネット元年前夜。私は、さっそくインターネットの技術を応用したスマートハウスの研究・開発に取り組みました。初めは社内でもあまり理解されず“会社のお金で遊びみたいなことをしている”と誤解された時代も(笑)。でも、先駆け的に取り組んだおかげで、2002年には“近未来の理想のスマートハウス”を具現化した『D’s SMARTHOUSE』を発表することができました」。

『D’s SMARTHOUSE』は、理想の近未来の家を形にしたモデルハウス。そこに暮らす家族のキャラクターを設定し、生活のシーンをイメージできるよう工夫を凝らしたそうです。「便利な技術があったとしても、それが自分の暮らしをどう変えるか、どのように役立つかがわからないと、人の気持ちは動かないと思うんです。また、技術が主張し過ぎるのも、家という形にはそぐわないと考えます。日常生活の中にさりげなくなじんで、構えずに使える技術が理想ですね」。

『D’s SMARTHOUSE』外観。2002年から2013年まで公開し、現在は、
TRY家Lab(トライエラボ)としてリニューアルOPEN ※スマートハウスの展示は終了。

左/施解錠や照明のオンオフができるタッチパネル
中/リビングボードに組み込んだホームサーバー機器
右/モニターを電子的な窓に見立てたネットウィンドウ
いずれの機器も、悪目立ちせずインテリアにさりげなく馴染むことを目指したそうです

現在のスマートハウスでは、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)を通じてエネルギーを“見える化”し、家中の空調や照明、蓄電池などをまとめて制御することが可能になっています。『D’s SMARTHOUSE』で提案されていたような技術が、文字通りさらにスマートに暮らしの中に溶け込んでいます。

「今のところ、スマートハウスはエネルギー面でのメリットが特に注目されていますが、可能性はそれだけにとどまりません。私は、スマートハウスはスマートフォンと同じだと思っています」。アプリのように便利な機能やサービスを付加していくことで、もっといろいろなことができるようになる。そんな可能性をもったプラットフォーム(基盤)だということです。「そのような考えから、当社ではスマートハウスを活用した新発想アプリ開発コンテスト『家CON-2015』を開催しました。そこで入賞したアプリは、実際に自社商品に生かしていくことを考えています」。今後は、日常使う家電や機器などがインターネット接続されるIoT(Internet of Things:モノのインターネット)と住まいの可能性を探っていきたいと語ります。

多忙な吉田さんの気分転換は、愛車で出かけるサーフィン。片道3時間の道のりも苦にならないとか。「波待ちで海に漂っているとき、波に乗るとき、完全に無の状態になれます。先日は、海の上で虹を見るという夢のような瞬間を体験しました」。仕事を離れ、まっさらになれる時間が、新しい発想の素地を生み出すのかもしれません。とはいえ、自分の予定と天気と波のコンディションを合わせるのは難しく、今は3歳のお子さんの育児も重なって「月に一度の波乗りも、なかなか実現しないこの頃です(笑)」。

(文責:イエノミカタ編集部)

参考サイト

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