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シンプルで飽きのこない、暮らしの舞台を創造する

家づくりのプロフェッショナル~『商品開発職』

デザインという行為は、整理整頓をすることと同じ

今回お話を伺ったのは、住友林業 住宅事業本部 技術商品開発部の藤原広行さん。長年、モデルハウスのデザインを中心とした商品開発業務に携わっています。「工業大学の付属高に通っていたとき、建築の授業を受けてその面白さに目覚めました。図面を描くのが好きで、大学では機械設計を専攻。就職を考える段になって、やはり建築分野に関わりたいと思い、ハウスメーカーに入社しました」。

住友林業 住宅事業本部 技術商品開発部 商品企画・構造開発グループ デザインチーム 次長 藤原広行さん。
住宅業界に身を置いて35年以上になる大ベテランです

今回、取材場所となった東京・立川にあるモデルハウスも、藤原さんが手掛けたもの。四角い箱を組み合わせたような、ダイナミックでモダンな外観が印象的です。「このようにスクエアな外観は、当社のイメージとは離れているかもしれませんね。実は“住友林業らしくない家”が開発当初のテーマの一つでもあるのですが(笑)」。

「寄棟屋根や切妻屋根の場合は、建物の形によって屋根の形が左右されます。一方、箱型の建物は屋根の形を考慮に入れなくていい分、設計の自由度が高いんです。また、陸屋根(勾配のない平面状の屋根)部分に、テラスや屋上などの外部空間をつくれるのもメリットです。都市部で思うように庭がとれないような立地条件でも、空や風、緑などの自然を取り込み、心地よく過ごせる家がつくれるというわけです」。

住友林業 立川第一住宅展示場。同社商品「BF GranSQUARE(ビーエフ グランスクエア)
『STYLE UPSIDE(スタイル アップサイド)』」のフラッグシップモデルです

箱を組み合わせた建物形状により、テラスや屋上を設けやすくなります。
東西南北すべての向きにこのような空間を設けました

「リビングとテラスの連続性を強調するため、屋内の天井から屋外の軒天にかけて杉材を貼り、視線を外部へと導きます」。
こうすることで、屋内外の一体感が生まれます

藤原さんが一番のお気に入りという、3階のテラスリビング。
掘りごたつ風の座卓でくつろぎながら、テラスの緑と大きく広がる空を眺められる爽快な空間です

藤原さんは、社内の研修会でデザイン分野の講師を務めることもあり、その時必ず話しているのが“デザインの基本は整理整頓”ということ。「机の上にモノが散らかっているとしましょう。これを美しくするにはどうしたらいいか? まずは、同じ種類のモノをまとめて仕分けして、一番大きなモノを下に、その上に順番に小さくなっていくようにモノを重ねます。その束を机の縦横の線に揃えて並べれば、乱雑な机は綺麗に整理されますね。でも、それらのモノをすべてしかるべき所に収納すれば、机の上はより美しくなります。住宅のデザインもこれと同じ。この手順で要素を整理整頓していけばいいんですよ」。藤原さんの、デザインに対する考え方はシンプルで明快です。

また、藤原さんは“主役は住む人の暮らしであり、家は舞台。絵画に例えるなら、家はキャンバスで、暮らしの絵を描く生活者が主役”と考えているそう。「舞台やキャンバスが目立つのはNGです。日常生活を送る場が飽きのこない空間となるよう、装飾過多は避けたいもの。結果的にコストパフォーマンスも高くなり、メンテナンスもラクになるというメリットも生まれます」。それは室内空間だけでなく、建物そのもののデザインにも通じること。先に紹介した立川モデルハウスもそうですが、シンプルな箱型から始まる設計に大きな可能性を感じているそうです。

広報誌(左)や社内勉強会の資料(右)の本格的なパースも藤原さんの手によるもの。
「子どもの頃から絵が得意で、漫画家を目指していたこともあったんですよ(笑)」

休みの日も都内近郊に出かけて、魅力的な街並みや住宅を見ながらウォーキングするのが趣味だという藤原さん。これから家を建てようと考えている人へ向けてのアドバイスを伺うと、「リビングをいかに広くとれるか、チャレンジしてほしい」と一言。「寝室や子供部屋などのプライベート空間はコンパクトに。その代わり、家族が一番長く時間を過ごすリビングを充実させてほしいですね。単に広さだけでなく、天井の高さに変化をつけたり、家具のレイアウトを工夫することで、空間の中にいくつかの居場所ができあがります。同じ室内でそれぞれが思い思いに過ごしても、居心地よくいられる空間をつくれるんですよ」。

また「わが家が、街並みの一部になることを意識してほしい」とも。「外観をつくるとき、たとえば窓の位置をきれいに揃えることで、印象がぐんと変わります。また、外構に木を植えることで、街並みが魅力的になります。家は自分の財産であるとともに、街の財産でもあるんです」。

長年にわたり、ハウスメーカーで仕事をしてきた藤原さん。そこに感じるやりがいとは?「初めは“思い”や“考え”から始まったものが“線”になり、最終的には“形”となって“空間”をつくり出します。その空間で人が過ごす光景を目にしたとき、この仕事をやっていてよかったなぁ、と思います」。

(文責:イエノミカタ編集部)

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